ブランドや製品の命である品質を守りながら運びきる、「キリン品質」の物流サービスを担うキリングループロジスティクス(東京都中野区)。今年3月、戸叶弘前社長からバトンを引き継ぎ、社長に就任した山田崇文氏。社長就任早々、日本にも深刻な影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応に迫られ、社内外の安全対策など、その対応に追われている。物流を止めずにいかに遂行するか。同社では、在宅ワークなどを組み合わせ、安全性と効率化を図りながら事業を継続している。
陣頭指揮を執る山田社長は、親会社であるキリンビールに入社後、営業畑を歩み、国内外でキリンビールを売るべく、長年にわたって奮闘してきた。「作る側と売る側が、常に運ぶことを意識していかないと、これからの物流は成り立たない」と話す同社長は、営業で培ったノウハウを物流に生かし、「キリン品質」のさらなる向上を目指す。「人」が最も重要と話す同社長は、「この会社で働けて良かったと、そう思われる会社にしていきたい」と抱負を語っている。
2020年は新型コロナウイルス感染症拡大という未曽有の事態に直面するという、そんな幕開けで始まった。山田社長は、その最中の今年3月、キリングループロジスティクスの社長に就任した。
営業畑を歩んできた山田社長が、同社の社長という内示を受けたとき、想定外の人事に「一瞬、頭が真っ白になった」という。物流は社会課題として当然グループ内でも頻繁に話題になっていたものの、「まさか自分がその立場になるとは思ってもみなかった」と振り返る。
「せっかくだから、自分が好きだと思える商品で仕事をしたい」と志し、山田社長がキリンビールに入社したのは1991年。その思いは、キリンビールが「ハートランドビール」発売の際に、六本木でオープンしたビアホールでアルバイトした学生時代に培われた。
「学生時代に体験したアルバイトで、キリンビールの商品やブランド、お客さんがビールを片手にコミュニケーションをとる姿、また楽しく仲好く働くバイト仲間の姿を目にした」という同社長は、「『こういう場を作れる会社っていいな』という思いから、入社を決めた」とし、その思いは30年経った今でも色あせていない。
第一志望でキリンビールに入社し、営業畑を歩んだという同社長は、入社してすぐに神戸に勤務し酒屋、東京に転勤してからは量販店・特約店を相手に営業マンとしての第一歩を踏み出した。その後、本社で全国の営業を統括するなど、営業としてのキャリアを重ねた。
物流部門に携わるのは今回が初めてというが、本社営業部時代、営業部門の窓口や販売物流を担当し、物流課題解決のために営業部隊ができることを模索したこともあったという。お届け先での待機時間の削減やパレット回収強化などの推進で、物流部門と共同で解決に向かい行動をしたこともある。
さらに、特約店との取引制度を定めて、物流効率化メニューの開発にも関わった。そういう意味では、「営業としては物流に携わってきた方」と自身について話す。
2011年からは、アメリカでのキリンビールの普及を目指してKirin Brewery of America LLCに赴任し、現地法人の社長を務めた。
「日本とは全く違う環境だった」と振り返る同社長。日本ではビールを飲む人なら当然キリンビールを知っており、新商品を発売してもすぐに7、8割の人が認知する。物流においても品物が届くのが当たり前だった。しかし、そうした環境が一変する。(つづく)
◎関連リンク→ キリングループロジスティクス株式会社
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June 05, 2020 at 07:46AM
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